2009年08月29日

「おニュー」「マスト・アイテム」外国語を借用し母国語化する日本人の巧みさ【イギリス】

よしふたつ


 言葉には、流行り廃れがあります。
 時代時代を反映して、常に新しい言葉や表現が生まれたり古びていったりするのですが、それをあまり考えずに、お店の看板に、

NOW(ナウ)な店

などと書くと、後でとても恥ずかしい思いをすることになってしまいます。

 今では話せれば「すごい」とされる英語も、戦前は敵性語として「軽佻浮薄」な言葉とされていました。
 そのため、戦時中の野球では、

ストライク」→「よし
ストライク ツー」→「よしふたつ
ストライク スリー」→「それまで
ボール」→「だめ
アウト」→「ひけ

と言い換えられ、ロシア人(北海道育ち)の名投手スタルヒン選手も「須田投手」と改名させられていたのだとか。

 戦争という時代背景を考えなければ、「よしふたつ」とか「ひけ」もなかなか味があるように思うのですが、それも今は昔。近年は、日本人は積極的に英語を習い、その単語を日本語に同化させていっています。

 コリン・ジョイス氏も、『「ニッポン社会」入門』の中で、

英語と日本語をうまく混ぜ合わせてしまうことにこそ、日本人が外国語を借用し、日本語化する能力がよく表われているとぼくは思う」

と語っていて、興味を持った言葉の例をいくつか挙げています。

思いもよらぬ方法ででたらめに英語の表現を拾い上げ、日本語の中に組み込むこと

を、「日本人の偉大な発明」と称賛するジョイス氏はこんな例を挙げています。

パソコン」……「英語の話者には理解できない略語だが、それでも『PC』よりは使いやすい、ユーザー・フレンドリーな言い回しだろう」

 パソコンは、さらに「ノートパソコン」という言葉も生んでいます。

マザコン」……「英語に由来した表現でさえない。英語では『エディプス・コンプレックス』」

プラス・アルファ」……ジョイス氏の同僚が議論の最中によく使っていたそうで、「それまで聞いたことさえなかった」とジョイス氏。

 Wikipediaには「和製英語。英語での表現は、+x(プラスエックス)であり、そのXをαと誤読したことから生まれた表現」とありますから、聞いたことがなくても仕方ないですよね。

マスト・アイテム」……「マストとアイテムの間に入れるべき『ハヴ』が抜け落ちてしまっている。『ハヴ』がうまくカタカナ表記に適合しないからだろうか?

 おそらく、言いやすさで「マスト・アイテム」となったんじゃないでしょうか。「マスト・ハヴ・アイテム」では長いし語呂が悪いので。

億ション」……日本人が外国語を借用し、日本語化する能力の好例だそうで、「遊び心があるうえに、的確に情報も伝えている」とのこと。

 そして、ジョイス氏お気に入りの日本語表現ベストスリーとは以下だそうです。

第3位「勝負パンツ」……

この言い回しを聞いて、感心しなかったイギリス人の友人はひとりもいない。大事なデートの前に着ける下着を指す言葉に関して、日本語ほど正直な言葉はほかにあるだろうか?」

第2位「上目遣い」……

 これは英語が関係していませんが、一応。
 日本女性の、哀願して見上げる目つきを指す言葉があると教わり、
この目つきを指す言葉が存在するとは! 日本語はすごい
だったそうです。

第1位「おニュー」……

「この言葉を聞いたとき、ぼくは声を出して笑い、その日一日、この言葉について考えをめぐらせたものだ。英単語と日本語の丁寧語をかけ合わせるなんて! この言葉は初めて何かを使うときに感じる束の間の幸福感を見事にとらえているし、そこにはユーモアとアイロニーが同時に含まれている。しかも、短い英単語の前にたった一文字つけ加えるだけで、それだけのニュアンスを伝えているのだ」

 ジョイス氏の来日が92年とのことなので、おそらくその当時聞いた言葉だったのでしょう。
 今はさすがにもう「おニュー」という言葉は古くて、使う人はいないでしょうから。

 こうやって例を挙げてもらうと、なるほど日本人が外国語を借用し、日本語化する能力が外国人を感心させるというのもよくわかります。

 ただ、その反面、過去の上手い翻訳表現も今なお捨てがたいと思ったりもします。
「ムービー」を「活動写真」→「活動」などと、英語を上手く言い換える面も平行して発展したら、なお面白いんじゃないでしょうか。

(参考引用 『「ニッポン社会」入門』)



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posted by kaigai at 15:24| Comment(15) | TrackBack(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
文字の色変えすぎてすごく読み辛いんだが
Posted by at 2009年08月30日 01:30
>文字の色変えすぎてすごく読み辛いんだが

俺は別に平気

おニューは今でもたまに使うときあるけどなw
Posted by at 2009年08月30日 04:12
「ストライク」→「よし」
「ストライク ツー」→「よしふたつ」
「ストライク スリー」→「それまで」
「ボール」→「だめ」
「アウト」→「ひけ」

これって嘘ですよ!
ストライクはストライクって言ってました。
Posted by at 2009年08月30日 06:10
えっそうなんですか
英語使っちゃだめだって聞いてたのに


>文字の色変えすぎてすごく読み辛いんだが
自分も平気でしたよ

Posted by at 2009年08月30日 06:45
「ストライク」→「よし」
「ストライク ツー」→「よしふたつ」
「ストライク スリー」→「それまで」
「ボール」→「だめ」
「アウト」→「ひけ」

これは有名な都市伝説ですね。
戦後にサヨクが広めたデマです。
戦争当時、どこかの雑誌がお遊び的につくったものだそうです。
Posted by at 2009年08月30日 06:57
普通に英語つかってた
Posted by at 2009年08月30日 08:24
敵国語を知らないというのは戦争中においてかなり不利なので禁止にする理由がないんですよ
うちの祖父も普通に英語教育は受けてたそうです
Posted by at 2009年08月30日 09:44
海軍なんかは普通に英語の用語使ってた話だしな
Posted by at 2009年08月30日 12:28
オストアンデル
Posted by at 2009年08月30日 15:14
敵性語の話はデマってのは、結構有名な話ではある。
Posted by   at 2009年08月30日 20:27
おニューは今でも使っちゃうなぁw
Posted by   at 2009年08月30日 22:03
>>戦争当時、どこかの雑誌がお遊び的につくったものだそうです。
確か朝日新聞でなかった?

あと良くあるのは

実際に使用されていた防空頭巾やらモンペだと鮮やかすぎたりしてはっきり言ってオシャレなため、そのままのデザインではなく、かなり地味&ダサくアレンジしたものが戦争ドラマなどでは使用されているというの。

似た例で

西部劇でのインディアンは実際のそれに比べると地味かつ野蛮人に描かれており、史実のネイティブアメリカンはそれと比べて、『土地を追われただけの農耕民族で、居留地に押し込まれて尚かなり文化的』&『かなりオシャレ』という違いがあるそうな。
Posted by at 2009年08月31日 02:49
昭和時代の野球アニメで「英語の用語使用禁止」って言ってた。
Posted by at 2009年09月09日 22:25
たしかリニューアルも造語だっけw
カタカナだと外来語をなんでもかんでも文字に落し込めるけど、音節が多くなってネイティブの発音からはかけ離れるんだよな
Posted by at 2009年09月13日 06:55
オノマトペの応用で
そういう意味の擬態音として
なんとなく解った気分に慣れるから。
Posted by 茄子畑 at 2009年11月27日 22:44
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